月の海から地球を眺め

宇宙人から見た地球。そしてニッポン。

黒いカバンに磁石のように
スイとひっつくマダラの蛾
翅をゆっくり落ち着ける
まるでそれは
カバンに付いていた蛾のブローチが
ゆっくりと動き出して飛び立つ様を
逆再生で眺めたようで

真横にマダラの翅広げ
カバン持つその腕に
こくりこくりと揺れる頭に
合わせて揺れる無機質さ
それは生きているはずなのに
まるで生きているよりも美しく
味気ない筈のマダラの翅に
藍の宝玉が埋め込まれていて

飛び立つ時はバタついた
やっぱり彼は生きていた